ドラムの打ち込みを人間ぽくするコツ3点【実例あり】

バターサンド(@TaButterSo)です。以前書いた、ドラムの打ち込みを人間ぽくする!という記事が結構読んでいただいているようなので、もう少し詳しく書きます。実際のプラグインの設定や、MIDIの打ち込み方も詳しく解説したいと思います。

まず、以前の記事でも書きましたがドラム打ち込みのコツは3つあります。

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コツ1、ベロシティ(強弱)を細かく付ける

 ある曲の1小節分の打ち込みを例にとって見てみます。スネアが分かりやすいですが、1音ずつ色が違います。つまりベロシティをそれぞれ変えます。赤い程ベロシティが高く(強く叩いた音)なります。平均80くらいですが、75~85くらいで強弱を付けています。2拍4拍のスネアだけならそこまで気にならないのですが、画像の3拍目4拍目の様にスネアが連打するフィルインで同じ強度の音が連続すると、いかにも打ち込みっぽいドラムになってしまいます。むしろそれを狙うならベロシティは一定にする事になります。特にスネアはアンサンブルの中で存在感が大きいため、ニュアンスの違いや音色で曲の雰囲気が大きく変わります。ベロシティは音量では無く、ニュアンスを変えるためのものだと思うので特にスネアはこだわります。ベロシティの違いだけではなく、元々のニュアンスが違うスネア(画像のスネアA、B)も使います。ハイハットは基本的に裏拍のベロシティを弱くします。スネアと同様ベロシティは一定ではなくちょっとずつ変えています。シンバル、キック、タムはベタ打ちでも問題ありません。シンバルは単発で打つ事が多く、キックはバラつかない方が曲が安定します。タムは登場回数が多ければ気にしますが、ベタ打ちでもそれほど気になりません。タンバリンは16分音符で連続しているので2拍4拍を強拍にしているのと、それ以外も1拍を中くらい、それ以外を弱く、かつベロシティをバラバラにしています。こういう連続するパーツ程ベロシティをばらさないと機械的な音になります

コツ2、タイミングをちょっとずらす

画像だとちょっと見にくいですが、よく見るとMIDIノート(音のマス)がグリッド線(枠線)からちょっとずつはみ出しています。あくまでも聴感上のリズムに影響が無い範囲でタイミングをずらします。DAWにちょっとずつずらす機能があったりするので、それを使います。Logicだと「ヒューマナイズ」という機能です。ドラム全体にヒューマナイズを適用しても良いのですが、ずれなくても良いシンバルやキックなどはそのままにしたいので、パーツごとに選択してヒューマナイズをかけています。

コツ3、人間が演奏不可能なフレーズにしない

そもそも人間がドラムを叩いた場合、すべての音を同じニュアンスで完全にクリックと同じタイミングで演奏する事は不可能です。つまり不自然です。上記のベロシティ、タイミングをバラバラにするのは、この不自然さを軽減するためです。同じ理由で、腕が2本だと演奏不可能なフレーズ(例えばスネアを連打しながらタムも連打など) は不自然なので避けます。画像ではシンバルが鳴っているタイミングではハイハットは鳴らさないようにしています。ハイハットは右手で叩くと仮定して、その場合シンバルも右手で叩くからです。ただ、どうせ打ち込みなんだし自由にやればいいと思います 笑。出来た作品が良ければ何でも良いと思います。それを言ったらこの記事が根本的に意味ない感じになってしまいますが・・・。あくまでもスタンダードなバンドサウンドを作りたい場合のドラムの打ち込みの場合はこうすると良いよという事です。

ドラムの音作りについて

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 参考までに僕のセッティングを晒します。各パーツが一つのトラックにまとまってマスタートラックに送られるようになっています。PANはキック、スネアはセンターハイハットはちょっと右タムはフロアタムに向かって段々右(左)に行くようにします。シンバル類はソフト音源の中でPANを決められるのでそちらで左右に一枚ずつと、ライドシンバルを左に振っています。リバーブはセンドトラックに3種類(Bus2,4,5)使っています。短いのと中くらいのと長いのというイメージです。特にBus2の「初期反射リバーブ」はWavesのTruevervbを使っていますが、部屋鳴り感(空気感)の様なものを出せます。部屋鳴り感や空気感はソフト音源側でも設定できるし、プリセットをそのまま使っても良いと思うのですが、しっくりこなかったので僕は今のところこのやり方で落ち着いています。ルーム/ホールのリバーブはLogic付属のSpaceDesignerを使っています。音の余韻を加えます。薄くしかかけませんが、これがあるとよりリアルになります。DTMの場合、マイクで録音した空気感や部屋の響き(音の反射)が無いことで機械的に聞こえる(打ち込み臭さが出る)ので、実際のレコーディングの状況をなるべく再現する方向で考えると良いと思います。実際のレコーディングを見た事が無い場合は、リハスタでマイクを借りてどんな音が録れるのかやってみるとか、レコーディングパックみたいので1曲録ってみるだけでも理解が深まると思います。

キックにはR Bass、スネアにはリミッター、それぞれにEQとコンプがインサートされています。R Bassは要するに低音が強化されるエフェクトで、DAW付属のエフェクトにも似たようなものがあると思います。スネアのリミッターは、ベロシティーを強くしてる箇所があった場合、クリップする(0dbを超えてしまう)のでそれを防ぐためです。コンプは何か狙いが無ければかけなくても良いと思います。画像ではキックやスネアにコンプがかかってますが、これはサイドチェイン用です。キックならベースとの周波数の住み分けが出来ていれば不要です。シンバルは結構がっつりコンプかける事が多いです。シンバルの音がアンサンブルになじむと思います。かけないとちょっと浮いたような感じになる事が多いので。EQは、周波数の棲み分けの為に入れています。特にキックとベースとスネア(全部センターに配置される)の住み分けを意識しています。WavesのAPIシリーズをよく使うのですが、周波数が固定されたタイプのEQのメリットとして、とにかくピークがかぶらないように設定してしまえば周波数の住み分けがある程度可能なところだと思います。楽です。あとは全パーツがまとまっているトラックにまとめのコンプをかけ、リバーブもかけます。画像の中にPal_compというトラックがありますが、このトラックはキック/スネア/ハットだけがアサイン(ソフト音源側で設定できる)されているのですが、コンプで限界までつぶしたトラックです。このトラックをうっすら混ぜてやると迫力がでるというか、グルーブが出ると言うか・・・ガツンとした感じが出ます。混ぜすぎるとおかしな音になるので隠し味として使っています。

まとめ

ドラムの打ち込みは非常に奥が深く今後も研究あるのみですが、DTMを始めたばかりの方は是非参考にしていただけたらと思います。

使ってるドラム音源は  ↓

XLN Audio Addictive Drums 2 ソフトウェアドラム音源 スタンドアローン / VST / AU / AAX対応
 

 WavesのTrue verbはGoldに入ってます。